「ずっと自信がなかった」長澤まさみが今、20歳の自分に伝えたいこと

2018年01月26日

話し始めて1分で「素敵な人だな」と思わせる力がある。一つずつの質問に、飾らない声で真摯に答える。時には言葉を選びながら、でも言いよどむことなく、自分の思考を端正に紡いでいく。

自然体でチャーミング。冷静だけど熱意を感じる。長澤まさみはそんな女優、いや、一人の女性だった。


Eiji Hikosaka



作品や仕事について語る凛とした姿勢と裏腹に、自身の性格についての質問には「自分のことを喋るのは苦手で」と小さく笑う。

「だって、恥ずかしくないですか? "長澤まさみ"個人のことを知ってほしいとはあまり思わないです。演じている役と私は、違うから」

映画にTVドラマ、CM、大河ドラマ。幾多の代表作を持ち、第一線を走り続ける彼女は国民的存在と言っていいだろう。誰もが認める華々しい経歴を持つ一方、自分の中ではある時期まで「ずっと自信がなかった」と振り返る。

10代の清純派少女から、30代の美しく芯のある女性へ。

変わり続ける女優・長澤まさみに「これまで」と「あした」を聞いた。
(取材:BuzzFeed Japan 山崎春奈)

12歳で開いた扉




Eiji Hikosaka



2000年、当時最年少の12歳で第5回「東宝シンデレラ」オーディション でグランプリを獲得し、芸能界入りした長澤。当時は女優よりモデルに興味があったという。

「グランプリをいただいて、すぐに映画『クロスファイア』の撮影に入ったのですが、初めての世界でずっときょろきょろしていたのを覚えています。憧れの場所というより、こんな世界があるんだ! という感覚。『なんであんなところにテニスボールがあるの?』とか気になってました(笑)」(注:床を傷つけないために照明器具の足にかぶせてある)

「ずっと自信がない人間なんですよね」




Eiji Hikosaka



映画『ロボコン』(2003年)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)、ドラマ『セーラー服と機関銃』(2006年)など話題作に出演。若手女優として一気にスターダムに駆け上がっていった。

「今振り返ると、10代の頃はいまいちしっくりきていなかったです。もちろん目の前のお仕事には常に真剣に取り組んでいましたが、女優として頑張っていこうと自分の意志でちゃんと思えたのは20代になってから。周りの友人も学生じゃなくなってきて、じゃあ私はこれからどう生きていこうか、と」

「ずっと自信がない人間なんですよね。演じるお仕事は好きだけど、続けていくのは無理かもしれない、荷が重い、と思ったことは一度や二度じゃないです。ようやく自信のつけ方がわかったのが、そのタイミングだったのだと思います」

「自信がない」。華々しい経歴の彼女には意外な言葉に思えるが、飾らない謙虚さや、垣間見える貪欲さはここに通じているのかもしれない。

「意外ですか? 役柄的には自信がある女の子の方が多いからかな。気が強くてみんなの中心で引っ張っていくヒロイン。ふふ、実際の私とは結構違いますよ」

「自信は、つけるしかないですね。やっていくしかない。仕事をコツコツ積み重ねていくことでしか得られないし、得られなかったと思います」

「30代、最高ですよ」清純派少女を越えて




2018「嘘を愛する女」製作委員会



1月20日公開の映画『嘘を愛する女』では、大手企業で活躍し「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」にも輝くキャリアウーマン、川原由加利を演じる。中江和仁監督いわく「嫌な女」だ。

利己的、自己中心的にも見える言動や行動には、観ている側もひやひや、時にはイライラさせられる。

「正直、始めは由加利という女性が嫌いでした。『仕事を頑張る私』に囚われすぎて、周りが見えていない感じ。きっちゃん(高橋一生が演じる恋人・小出桔平)はどうしてこんな由加利が好きなのかな? ってずっと考えていました」

「でも、それだけ目の前のことを頑張っている、ってことですよね。それが一生懸命生きている感じがして面白かったです。自分に似ているとは思わないけれど、仕事に没頭しすぎて周りに気が使えない時って私にもあるかも、と共感はしました」


Eiji Hikosaka



清純な少女から、バリバリ働くキャリアウーマンへ。役の変化と同じく、自身も年齢を重ねてきた。昨年6月に30歳を迎えた心境を聞くと、弾んだ声でこう答える。

「30代、最高ですよ! 今までで一番人生を楽しめている気がします」

「20代は毎日いっぱいいっぱいで余裕がなくて。無駄なところで無駄な力を使っていたというか、1日仕事して帰ってきたら、もうくたくた。さらに若い頃は眠くて仕方なくて、泥のように寝ていたし......なんであの頃ってあんなに眠かったんでしょうね?(笑)」

「30代、40代を迎えた先輩方が『今が楽しい』と言っていた理由が10代の頃から不思議でしたけど、自分もいざなってみて『これか!』ってわかりました。エネルギーの配分が上手くなって、ゆとりを持てるようになった。今までで一番身体が動くし、一番体力があって、元気です」

20歳の自分に伝えたいこと




Eiji Hikosaka



2017年は『キャバレー』で初のミュージカルに挑戦。映画も『銀魂』『散歩する侵略者』など複数作に出演した。今年4月からはTVドラマ『コンフィデンスマンJP』で11年ぶりの月9主演を務める。

作品ごとに違った表情を見せる長澤に出演オファーは絶えることなく、今年も忙しい1年になりそうだ。

「最近、精神的にやっと成人した感覚ですね。20代なんてまだまだ半人前だったんだなって」

そう話す彼女に、最後に「今、20歳の自分に何か伝えられるなら?」を聞いた。

少し迷って、短くこう答えた。「それでいいと思う」。

「体力もなくてすぐ疲れて、いつも眠いと思うけど、でも、それでいいと思う」

「大人になったからわかったことはたくさんありますが、自分で少しずつ経験して気付いていかないと、物事や意識は変わらないから。言葉で教えたところで意志じゃないですから」

「ひとつ言えるとしたら、自分の感覚を信じてほしい。世の中には情報があふれているけれど、ちょっと検索した程度でたどり着ける情報って本当はすごく少ない。10年前と今でまた劇的に時代の環境は変わっていますから、さらに、ですよね」

「自分で知るって全然違う。知った気になっちゃダメだな、というのは、大人になってより濃く思うことですね。何を信じるか、何を大切にするか、自分の目で見て、肌で感じて決めてほしいです」

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